江戸時代の旅行ガイドブック旅行用心集
■ 発行 八坂書房
■ 監訳者 櫻井正信
■ 価格 2,000円+(税)
■ ひとことでいうと 江戸時代の旅行ガイドブック
八隅盧庵(やすみろあん)が文化七年(1810)に著した江戸時代の旅行ガイドブックを現代誤訳にした本です。
江戸時代後期、東海道の旅や伊勢神宮参拝などの旅行は、現代よりも日数が多く、大変なものでした。
その人生一大イベントである旅行に対する注意点が記されています。
まず旅行はどんな事に気をつけたら良いのか?
その注意点を61項目にまとめてあります。
中には迷信や科学的、医学的根拠の無いものもありますが、多くは現代でも通じる旅行ノウハウです。
まず最初に次の様な注意があります。
旅の初日は、とりわけ静かに歌詞を踏みしめて、草履が足によく馴染んでいるかを確かめる様にするがよい。
旅立ってから二、三日の間は、ときどき休んで、足を痛めないようにしなさい。
はじめのうちは誰も心がはやって、休もうともせず、がむしゃらに歩くものだ。
でも足を痛めてしまえば、旅の間じゅう苦しむことになる。
ともかく最初は足を大切にすることが肝心なのだ。
なるほど〜わかる気がします(汗)。
以下、一部を抜粋すると以下の通り。
- 荷物はできるだけ少なく。多いと忘れ物をする
- 旅籠に着いたらまず表裏の出入り口を確認すること(非常口の確認)
- 旅先での言葉や風俗を否定するのは口論のもと
- 風呂の順番で喧嘩にが多いので控えめにしておく
- 渡し場で船に馬を乗せる時は馬を先に乗せ人は後から。人が先に乗ると馬が嫌がり暴れることがある
- 旅の連れはせいぜい、5、6人程度が良い。大勢だと意見が合わない人が出るからだ
これを見ていくと、現代でも通じるものがありますね。
注意点の他に各地のデータべースも載っています。
それが関所、温泉、街道、宿場間の距離、各宿場の駄賃(料金)表など。
例えば関所は東海道だと箱根、今切(新居)。関所を通過する時の準備などを記載しています。
また各宿場の荷駄や人足の料金も一覧表があり、訂正のためなのか『現在は二割増し』みたいに書いてあるのがリアル。
全ての単位は【文】なので、現代の【円】に換算するのが難しいですが、おおよその料金はわかります。
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