江戸時代の旅籠が名古屋市熱田区に残っていた!丹羽家住宅(旧旅籠屋 伊勢久)
名古屋市熱田区に尾張名所図会(おわりめいしょずえ)に描かれている江戸時代の旅籠が残っていました。それが丹羽家住宅(旧旅籠屋 伊勢久)です。
東海道ウォークをしているとたまに当時の建物に出会いますが、開発が進んでいる名古屋市熱田区に残っているのは貴重だと思います。
丹羽家住宅(旧旅籠屋 伊勢久
丹羽家は幕末のころ、脇本陣格の旅籠屋で、伊勢久と称し、西国各大名の藩名入りの提灯箱が残されている。正面の破風付玄関は、かつての格上の高さを残している、屋根に上がっていた卯建(うだつ)は戦災で破壊され、現在は袖卯建(そでうだつ)のみである。
創建は不明であるが、天保十二年(1841)の『尾張名所図会・七里渡船着』(おわりめいしょずえ・しちりのわたしふなつき)には当家のものと思われる破風付玄関のある旅籠屋が描かれている。昭和五十九年、市の有形文化財に指定された。
名古屋市教育委員会
まずは玄関をチェックしてみます。『尾張名所図会・七里渡船着』(おわりめいしょずえ・しちりのわたしふなつき)に描かれている破風(はふ)付きの建物がありますが、場所と絵が一致するのはこの丹羽家住宅(旧旅籠屋 伊勢久)です。
江戸時代、破風(はふ)は格式が高い建物に用いられた飾りで、庶民の民家にはまずありません。丹羽家住宅(旧旅籠屋 伊勢久)は脇本陣格の旅籠だったのでこの破風があったのでしょう。
玄関の柱に輪っかがあります。これは馬繋ぎといって、馬の手綱を結んでおく輪っかです。
丹羽家住宅(旧旅籠屋 伊勢久)の2階。ここからも宿場内を眺めることができたのでしょう。
破風の上の鬼瓦
冒頭で旅籠が残っていました。と過去形で表現しましたが、令和五年(2023)に解体修理されていました。今後、どのようになるのか不明ですが、これも江戸時代から続く丹羽家住宅(旧旅籠屋 伊勢久)の歴史の一幕なのでしょう。
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