美濃路宮宿 | 熱田神宮に近く名古屋城下にもつながる宿場
宮(みや)宿は、東海道から分岐する美濃路最初の宿場町です。
宮宿の詳細は東海道のカテゴリで解説しましたので、今回は美濃路が東海道から分岐する場所、つまり美濃路の始まりの場所から名古屋宿までの見どころをレビューしてみます。
美濃路の始まり、つまり東海道との分岐点は宮宿の上知我麻神社(かみちかまじんじゃ)跡にある、寛政二年の道標とします。
(東) 北さやつしま(佐屋津島) 同みのち(美濃路)
(南) 寛政二庚戌(かのえいぬ)
(西) 東江戸かいとう(街道) 北なこやきそ道(名古屋・木曽道)
(北) 南京いせ七里の渡し 是より北あつた御本社貳丁(にちょう)
東面を見てみると、さやつしま(佐屋街道)、同みのち(美濃路)と2つの街道が同じ方向に伸びているのがわかりますね。
ではここからスタート!
美濃路はしばらく国道22号線と重なります。そのまま北上すれば名古屋宿に行けますが、せっかくなら周辺の観光ポイントをチェックしながら歩いて行きましょう。
まずは国道沿いにある熱田神宮。ここは名古屋きってのパワースポットとして有名で、道中の安全祈願を含め、是非立ち寄りたい神社です。
国道沿いの左手にコンビニ・ファミマがありますが、駐車場に看板が建っており、それを読んでみると岡部又右衛門家跡と書いてあります。
岡部又右衛門(おかべまたえもん)とは、戦国時代に生きた熱田の宮大工の棟梁。
織田信長の安土城(あづちじょう:滋賀県近江八幡市)建設に携わり、息子・宗光は豊臣秀吉の方広寺大仏殿(京都)の造営や徳川家康の名古屋城築城時に要職に着きました。
その岡部一族の屋敷があった場所です。
戦国武将好き、城好きの方は要チェックですね!
鎌倉幕府を開いた、源頼朝の生誕地といわれる誓願寺。
頼朝の母は熱田大宮司の娘である由良御前(ゆらごぜん)。この地に屋敷があり、頼はここで生まれたといわれます。
徳川家康は幼少期に熱田で約2年過ごしており、その時に誓願寺も訪れ、頼朝に特別な想いを抱いて、後に誓願寺を保護したそうです。
国道22号線沿いに熱田神宮の2つの神門址の石碑があります。
これはかつての熱田神宮の門があった場所だよ!という石碑で、逆に言うとここまで熱田神宮だったということです。
北に向けて第二新門があり、そのさらに北側・新尾頭の信号交差点に第一神門址があります。
この2つの石碑は22号線を金山駅に歩いて左側にあります。
熱田神宮公園の中にある断夫山古墳(だんぷさんこふん)。
6世紀前半頃(古墳時代後期)の築造と推定される東海地方最大規模の古墳。
本格的な発掘調査は行われておらず、埋葬者はかつて尾張南部に勢力をもった古代豪族・尾張氏の首長とも、日本武尊妃の簀媛命(ミヤズヒメ)とも。
国道22号線を歩いて金山(かなやま)駅の西側まで来ました。
金山新橋南の信号交差点の南西側コンビニ前に佐屋街道道標が建ってます。
熱田の宮宿から美濃路と共に佐屋街道は北に向かっていましたが、ここで西に分かれます。美濃路はそのまま北に向かいます。そのことを示した石碑です。
東海道は宮宿からは海路で、船を使って海を渡り桑名宿まで行かなければなりませんでした。
佐屋街道はこの海路を迂回する道で、現在の愛知県愛西市方面に陸路で抜ける事ができます。石碑には次のように刻まれてあります。
東 右 なこや 木曽 海道
西 右 宮海道 左なこや道
南 左 さや街道 津しま道
北 文政 辛巳年 六月 佐屋旅籠屋中
美濃路から少し逸れたところにある闇之森(くらがりのもり)八幡社。この神社は源為朝(源頼朝・義経兄弟の叔父)が創建したと伝わります。
本殿の西側に源為朝が使用していた武具を治めたといわれる、鎧塚があります。
国道22号線と重なった美濃路を歩いて、古渡信号交差点までやってきました。
信号の南西側にある古渡稲荷神社前の道は、かつての鎌倉街道といわれる道です。
鎌倉街道は別名・小栗街道ともいわれ、京都〜鎌倉を結ぶ道でした。
その道筋は尾張徇行記によれば、萱津宿(愛知県あまし)から庄内川を渡り、東宿から上中、米野、露橋、古渡地内に出、稲荷祠と犬御堂の間を経てその先、大喜、高田へは船で渡り、井戸田、古鳴海へ抜けるという。
今では名古屋市は開発が進み、かつての面影は無いものの、鎌倉街道は局地的に残っています。
かつて古渡町の信号東南方向に古渡一里塚があったといわれています。
現在は一里塚を想わせるものは何もなく、一里塚跡が残るのみです。
この信号を渡ると、いよいよ名古屋宿に入ります!
攻略ポイントと感想
今回のコースを電車を使い歩くとすると、名鉄・神宮前駅で降りて美濃路分岐点へ移動し、帰りは地下鉄・東別院を利用するとよいでしょう。
このコースはほぼ平地で、道もまっすぐなので迷うことはありませんが、周辺は史跡も多いので、街道ウォーク以外に+αの時間が必要になります。
でもまあ、その寄り道も楽しいのですけどね。東海道・宮宿とセットにして楽しみたいコースです。
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